2014年5月23日金曜日

信託とは

私たちは、よく「信託」とか「信託銀行」あるいは「信託会社」という言葉を新聞などで見受けます。「銀行」という以上は、やはり金融機関の一つに違いありませんが、一般の銀行とは多少違っているようです。では一体どういうものでしょうか。それには、まず「信託」という言葉と、その働きから調べていきましょう。

 財産のある人は、たいてい「これをなるべく増やしていこう、それにはどのようにうまく利用していったらいいか」ということを考えるものです。ところが、人によっては、その財産をうまく動かす力がなかったり、また忙しくてその暇がなかったりします。そのほか、自分の財産を何か特別のことに役立てようと思っていても、自分でその目的通りに財産を運用することができないといった場合もありましょう。そのようなとき、信頼できる他の人々にその財産を渡して、その運用や管理を頼んで、自分の希望通りに取り扱ってもらえると非常に便利です。このように、ある目的のために財産を他人に渡して、その管理や処分を依頼することを「信託」と呼びます。

 ここで、ある目的を「信託目的」、信託された財産を「信託財産」といい、財産の管理や処分を頼む人を「委託者」、それを引き受ける人を「受託者」、信託の利益を享受する人を「受益者」といいまナ。そして、受益者が信託の利益を受け取る権利を「受益権」といいます。

 たとえば、父親が信託会社におカネを信託し、学資の支払いとおカネの利殖を依頼し、収益を学資に充て、元本は子供の学業が終わったときに父親に返すことにしたとします。この場合、信託目的は学資の支払いと利殖、信託財産はおカネとなり、委託者は父親、受託者は信託会社、受益者は収益について子供、元本について父親となります。そして、子供と父親は受託者に対してそれぞれ受益権を持つことになるわけです。