2016年2月12日金曜日

診療報酬制度の改革

診療報酬の改定はほぼ二年に一度行われます。物価や人件費が当然変動するからです。診療報酬の改定作業は、中央社会保険医療協議会(中医協)で行います。中医協は診療側、支払い側、公益の三者代表各三名、計九名で構成されています。診療側は日本医師会、歯科医師会、薬剤師会の代表、支払い側は健康保険組合連合会(健保連)、被保険者を代表して経営者団体や労働団体の代表、公益側は大学教授など学識経験者が委員となっています。

 中医協はいつも激しいぶつかりあいの場です。いわば医師のベースアップ交渉の場だからです。一九九九年も激しい対立の場となりました。政管健保をはじめ、健康保険組合ぱ赤字に陥り、これ以上の支払い能力をもつためには保険料率をアップする以外になかったからです。

 支払い側は、診療報酬単価一点十円を一点九円にする、という提案をしました。じつに一〇%の引き下げです。逆に診療側は三・六%の引き上げを求めました。医療費は約一兆円も膨らみます。医療費の財源の約四分の一は、国庫負担です。診療報酬の引き上げ幅がどのくらいになるかによって、必要な国庫負担も異なります。政府は翌年度の予算に必要額を計上しなければなりません。このため、十二月中旬までには診療報酬の引き上げ幅を決定しなければならないのです。

 結局、二〇〇〇年の診療報酬改定幅は、実質〇・二%のアップとなりました。診療報酬改定というコップの中の小さい争いぱそろそろ止めて、医療制度と医療保険制度の抜本的見直しに踏み出さなければならない時期がとっくにきています。

 現行の出来高払いを基本とする診療報酬支払い制度は、一九五八年に「新医療費体系」として導入されました。その後、医療の進歩に伴い、何回も診療報酬点数表は改定されてきました。その結果、現行の診療報酬制度には次のような、いくつかの重大な問題点が指摘されています。