2015年7月14日火曜日

マイクロソフトやインテルといった情報通信産業

世界の上位二〇傑のうち一四社がアメリカ企業で、上位一〇〇傑に入るアメリカ企業はちょうど六〇社、上位一〇〇〇傑に入るアメリカ企業は四二八社にも上る。ニューヨーク株式市場の好調ぶりを反映している。トップはGE、二位はマイクロソフト、三位ロイヤルーダッチーシェル、四位コカコーラ、五位エクソンと続き、ポピュラーな顔ぶれを拾うと、九位ウォルマートーストア、一〇位インテル、一三位IBM、一八位AT&Tといった具合である。

 ヨーロッパ系も結構健闘していて、この番付では、上位一〇〇傑に入る各国企業数は、英国が二一社、ドイツ八社、フランス三社、イタリア三社、オランダ四社、スイス五社で、合計三五社になる。それに対して、日本は一〇〇傑に入る企業はわずか三社で、八位にNTTが、一八位にトヨタが、そして東京三菱銀行が六八位に顔を出す(一〇〇〇傑には一一六社)。こういった傾向は一株の株価(九八年五月二九日)も同様で、ドル建てで表示すれば、日本企業は一〇ドル割れの企業が続出するが、アメリカ企業は五〇ドル以上の株価が少なくない。

 株価が好調なのは、マイクロソフトやインテルといった情報通信産業ばかりではなく、GEやGMやフォードやエクソンといった旧来の重工業産業も好調で、一時は赤字転落して経営危機に陥ったシティコープ(時価総額で第三八位、株価は一四九ドル)やバンカメリカ(時価総額は第五六位、株価は八三ドル)も、いまや回復して株価を上げた。マイクロソフトー社の株価総計で、東京三菱、住友銀行、さらにはソニー、ホンダ、松下電器という五社を買えることになる。

 そもそも上位一〇〇〇傑に入るアメリカ企業四二八社のうち、株価が一〇ドルを割る企業は一社もない。しかし、上位一〇〇〇傑に入る日本企業一一六社のうち、株価が一〇ドルを割るのが、五〇社を数えるのである。株価が落ち、企業が安値で買い叩かれる可能性もあり、日本企業が時価総額で上位を席巻していた一〇年前とは大違いである。

 これを市場別に見れば、アメリカ株式市場の時価総額は八・九兆ドルと突出したトップ(二位の英国の五倍、三位の日本の六・三倍)で、株価がその株式会社の一株当たり利益の何倍になっているかを示す指標である株価収益率(PER)は二八倍、一株当たり利益が二二・四ドル、対する日本は時価総額は一・四兆ドルで、アメリカのわずか一五・七%の市場規模に転落してしまった。にもかかわらず、日本市場の株価収益率は五五倍、一株当たり利益が六・九ドルで、アメリカよりも株価が高く、利益率はかなり下回るということになる。これは、株価が低迷している以上に、企業収益が奮わないからである。

 株価を一株当たりの利益で除した株価利益率は、利益に対する株価水準を判断する代表的な指標だが、株価低迷に苦しむ日本企業のPERが株価高騰に沸いたアメリカ企業を上回るということは、いかに日本企業の利益が奮わないかを示すものである。『ビジネスーウィーク』によれば、先進諸国一〇力国のなかで日本のPERは最高で、一株当たり利益は最低、時価総額では英米に次いで三位というところである。