2015年6月12日金曜日

文部省か「認定」を格上げ

「英検」は高度の一級から初級の五級までランクが設けられ、一級と二級の次のレベルに「準一級」「準二級」かおる。検定料は一級が五五〇〇円、二級が三五〇〇円、三級が二〇〇〇円。年三回実施され、各一次・二次試験を経て、検定の合格者には「合格証書」が交付される。一次試験は筆記とリスニング。二次になると、例えば一級は外国人と日本人面接委員各一人がペアで個別に面接し、五つのトピックから一つを選び、二分間のスピーチをし、このあとQ&Aを行う、といった内容だ。

 こうした実用本位の「検定能力」が評価され、同財団によれば、上場企業は入社試験の際の英語の能力審査で自ら実施するペーパーテストに次いで「英検」などの資格を重視している(九五年実施の上場企業一〇〇社のアンケート調査結果では、「ペーパ上アスト」による英語力の評価が四六%、「英検などの資格」で評価が四三%、の順)。

 この「英検」を文部省が「文部省認定の技能検定」と定めたのが、六八年二月のことである。大学紛争で揺れたこの年に、文部省は「社会教育上奨励すべきもの」として、「文部省認定」に踏み切った。さらに、二〇〇〇年四月には、それまでの「告示」を根拠にしていた認定を、文部大臣自らが発する「省令」に格上げしている。この省令は中曽根弘文・文部大臣名で「青少年及び成人の学習活動に係る知識・技能審査事業の認定に関する規則」として定められた。

 内容は、第一条に「文部大臣は、青少年及び成人の学習意欲を増進し、その知識及び技能の向上に資するため、これらの者が習得した知識等の水準を審査し、証明する事業のうち、民法第三十四条の規定による公益法人を指す。その他の団体の行う事業であって、教育上奨励すべきものを認定することができる」とある。

 続いて第二条で、認定を受けようとする法人は「その名称、事務所の所在地、代表者の氏名及び認定を受けようとする技能審査の名称を記載した技能審査認定申請書を文部大臣に提出しなければならない」と義務付けている。申請の様式も別記され、この様式を踏まえて申請するようにと、用紙の大きさ(A4判)まで決められている。ここに問題がある。公益法人の実施する「資格」を、国がどうして「認定」する必要があるのか。