2015年3月13日金曜日

健康な歯が冒されるのは病原体によるはずだ

健康な歯が冒されるのは病原体によるはずだということを前提とすると、歯周病の予防を目的にした歯磨きは、歯周病を起こす病原体の除去を目標としていることになる。もしこれらの原因となる細菌を古典的な病原体と考えれば、文字通り根こそぎにしなければならないという発想に結び付く。想像では、歯周病は一種の創傷感染症ということになるが、口腔に限らず、全身の皮膚や粘膜に常に微細な創傷が生していることは想像以上である。たとえば直接、創傷と無関係と考えられる理髪などでも、理髪店から戻って、髭を剃ってもらったばかりのところを熱いお湯などで洗ったりすると、ピリピリとした感じがする。それは、小さい創傷ができているからである。

 歯に関しては、毎度の食事という行為が何といっても最大の受傷の機会だろう。歯肉の部分には食物中の固い物体によって小さい損傷ができることもあるだろうし、噛むこと自体で歯垢が組織の中に押し込まれることもあるだろう。また歯垢が堆積するだけで、周囲の組織への悪影響が出やすくなるかもしれない。体験からいえることだが、歯肉の部分にかすかに感じられる鈍痛あるいは不快感は、歯垢を除いた直後から軽減する。