2014年11月13日木曜日

「欠陥アドバイス」の罠

逆に正直にすべての疑問点、難点や予想される困難を解説してしまいますと、依頼者の期待するようなアドバイスではないため、「先生、よく分かりました。どうも有り難うございました」と言って、それっきりになります。裁判を諦めるのはいいとしても、ひどいのになりますと、弁護士への相談料も踏み倒してしまいます。

 本当は法律が悪いのですけれども、それを正直に説明した弁護士まで恨まれてしまうことがあるのです。つまり、相談料も払わない人は、「自分の期待していたような満足のいく回答をくれなかった」と、正直な弁護士を逆恨みして、相談料の踏み倒しなど何も悪いとは思わない、といったことにもなりがちです。

 こうしたことに懲りて、弁護士の中には、あまり悪いアドバイスはしないようにしている人もいるようです。それが正しいアドバイスである限りは問題ないのですが、多少やりすぎたり、足りなかったりすることもあるでしょう。

 それも、ある意味では一種の弁護過誤なのかもしれませんが、例えば弁護士会が、そういう「欠陥アドバイス」を取り締まることはできません。依頼者が被害を被ったことを認識しない限り、懲戒問題にもトラブルにもなりません。

 いずれにしても、異様に儲かっている弁護士の中には、種々の問題が考えられてもそのあたりは簡単に説明し、「八割ぐらいは何とかなりますよ」とアドバイスするのが無難だと考えている人もいるようです。それで沢山の事件をこなせば、当たり外れはあるにして、「お蔭さまで何とかなりました」という結末になることも確かに多いわけです。結果オーライで、帳尻が合ってきます。