2012年8月22日水曜日

万能兼用辞典(シソーラス)

まったくおなじことが、万能兼用辞典についてもいえそりだ。国語辞典は国語辞典そのものであるのがよい。ベソ習字用には。専門のお千本帳があるし、和英辞典は和英辞典としてちゃんとまとまったものがある。ナイフはナイフ、セy抜きはセン抜きで、独立の道具をべつべつに使うほうが賢明なのだ。

しかし、国語辞典というのは、はっきりと書かれたことば、書こうと思っていることぱの意味をたしかめるためには便利かつ必要にちがいないが、適切なことばをさがすためにはあんまり役に立だない。だいたい、前言語的段階での人間の感覚的世界というのは、もやもやした性質のもので、なんとなくぼんやりと意味はじぶんなりにわかっているが、それをどういうことばであらわしてよいか、わからないことか多いものだ。いったい、じぶんのいまの経験を、もっとも適切にあらわすことばはなにか?それをさがすのには、「シソーラス」というものがある。

「シソーラス」とはなにか。それは、ことばを。その使われる領域別に整理して、われわれをとりまく環境をことばによって体系化したもの、とでも名づけたらよい。じぶんがことばによって表現したい領域は、ちゃんとわかっているわけだから、その領域についてシソーラスをひけば、適当なことばと関連したことばが、ゾロゾロといもづる式に出てくる。

英作文をしようとする人には、こうしたシソーラスは必携の辞典である。同義語や反対語をもとめるのも容易だし、ことばをいわばグループ別に学習できるので便利だ。日本語のシソーラスはどうか。林四郎によると、天明年間に柴野栗山の編になる『雑字類編』という辞典かあり、これか関連語や同義語をあつめた近世的シソーラスであったという。こんにちのものでは、英語のモれにくらべれば、はるかに知られていたいが。国立国語研究所のつくった『分類語彙表』がある。ことばさがしには便利なものだ。